イチゴを育てて物々交換―。横浜市青葉区でイチゴ農園「ピエノファーム」を運営するNPO法人・みんなのおうちバンビのピエノ(川崎市麻生区上麻生)は、学童に通う子どもたちに栽培を体験してもらい、自分で収穫したイチゴを市内の洋菓子店に持ち込んでイチゴのデザートと“物々交換”するイベントを始める。食育の一環として始めるもので、市内でも有名な洋菓子店「エチエンヌ」が協力する。

食育の一環でエチエンヌと連携

■児童が農業体験

同法人は、川崎市内に保育園を計3園、学童1施設を運営。新型コロナウイルスの影響で、これまで開催していたキャンプや川遊びなどのイベントを相次いで中止せざるを得なくなったことから2022年、県の「ビジネスモデル転換事業費補助金」を活用し、「ピエノファーム」(約700平方メートル)を開園した。行動制限に左右されないよう、自分たちでイベントができる施設として位置づけている。

同ファームの石村元代表は当初、農業未経験ながらも挑戦。試行錯誤を重ねたが、イチゴ栽培の熟練者などからのアドバイスを受けながら経験を積み、今では「紅ほっぺ」「ベリーポップ」を収穫。現在は直売所を設けるほか、児童や保護者たち向けの農業体験が企画できるまでになった。

石村代表は現役の税理士でもあり、地元小学校で税金に関する授業も頻繁に行っている。「食育だけでなく、『労働の対価』というものを、お金以外でも知ってもらえたら」(石村代表)と、今回の企画を発案。パートナーとして、テレビにも出演する藤本智美さんがオーナーシェフを務める「エチエンヌ」を川崎信用金庫がマッチング。藤本シェフも賛同し、実現することになった。

■感動味わって

イベントは同法人の学童に通う小学4~6年生を対象にし、11月にイチゴの手入れ作業を実施、2024年1月には収穫作業を体験する予定だ。

児童たちは収穫したイチゴをパックにして同店に持参すれば、その場でデザートにしてもらえる。「自分で収穫したイチゴを食べたときの感動は大きいです。子どもたちなら、なおさらでしょう」と石村代表。今後も定期的にこうしたイベントを企画していきたいという。

(2023年11月号掲載)