サイン・ハウス(川崎市中原区中丸子)は、オートバイ用の無線インカムを産業用に拡販する。ブルートゥース方式を採用し、従来のトランシーバーなどに比べ小型・低価格なうえバイクツーリング用に高い防水性を備えることから、高速道路工事の保安スタッフといった騒音の中で安全管理のための情報共有が必要な分野を中心に市場を開拓する。3年後にインカム売上高のうち産業用途の比率を3割までに引き上げる方針だ。
小型・低価格で安全管理
■市場シェアは過半数
同社はオートバイ用品の専門商社として1987年に創業した。2006年から自社ブランド製品を開発。無線インカムは08年に「B+COM(ビーコム)シリーズ」として発売し、ヘルメットに取り付けて仲間と会話しながら走行する使い方を普及させてきた。
現在、年間出荷台数は約8万台まで成長。競合製品も多数登場しているが「市場シェアは過半数を押さえています」(新井敬史社長)という。
ビーコムシリーズは、パソコンの周辺機器接続などに使うブルートゥース方式の2・4ギガヘルツ帯無線通信により、最大6台までの同時通話が可能だ。通信距離はクラス1、周囲の状況で変化するが、数百メートルを超えることもあるという。
音の劣化や遅れがほとんどなく、ノイズキャンセルなどにより、周囲の雑音も気にならない会話性能を持っている。
ヘルメットに本体とマイクを装着しフリーハンドで通話、1回の充電でモデルにより連続12~22時間使える。価格は1台2万~4万円程度。
■高速道路や林業にも
高速道路工事では、工事の状況や高速走行する一般車両を常に監視する保安スタッフがプライベートでビーコムを利用。声を掛け合って安全を確保する効果が認められ採用につながった。
同社はこのほかにも林業の伐採スタッフや音の大きい工場内の作業者など需要は大きいとみており、それぞれの分野に強い代理店と共同で市場を開拓していく。