ワイヤーハーネス製造、大新工業(川崎市宮前区水沢)は、少量多品種で、大小さまざまな製品を手掛けられる柔軟性が強みだ。ハーネスの部品となる樹脂の射出成形から一貫して手掛けるほか、らせん状で伸縮する「カールコード」も1本から受注する珍しい企業といえる。そんな同社のものづくりを支えるのは女性職人たち。全従業員に占める女性比率は9割超。「(ワイヤーハーネスの生産は)手先の器用さが求められるため、女性が活躍しています」と小野浩一社長。働きやすい環境づくりを進めている。
女性比率9割超「働きやすい職場に」
■産業の血管
ワイヤーハーネスとは、機器間の接続を担う部品。機器から発せられるあらゆる電気信号を伝達するために、電線や電線の両端に付属する端子やコネクターなどを束にしてまとめた集合部品だ。映像や音響、通信から医療機器まで幅広く使用され、「産業の血管といえます」(小野社長)と例えるほど、重要な存在でもある。
ただ、生産の自動化には限界があるため、手作業による技術が問われるという。
1969(昭和44)年の創業以来、ワイヤーハーネス一筋。3代目となる小野社長は大学卒業後、IT業界を経て、美容室経営のコンサル会社に勤めていた。しかし昨年4月、先代の急逝により受け継いだ。まだ30代前半だ。
若いながらも前職のサラリーマン経験を生かして奮闘。働きやすい会社にするため、就業規則を整備したほか、自ら会社案内を制作するなど、新しいことに次々とチャレンジする。
■働き手に寄り添う