第一パイプ工業(川崎市川崎区千鳥町)が、プラスチックリサイクルの常識を覆そうとしている。同社が開発した「ダイプラストウッド」は“100%再生”で、従来の再生プラスチック品では持ち得なかった特徴を兼ね備える。トラックの重量にも負けない強度、木材のように削れる加工性、割れない耐久性...。回収した通信用ケーブルから選別したポリエチレンなどを原料に、独自の成形、配合方法を施すことで実現する。実に40年ほど前から展開しているが、SDGsに対する機運が高まっている現在、大きな脚光を浴びている。
「ダイプラストウッド」が脚光
■業界シェア3位、県内唯一
主力事業は「軽量C形鋼」と呼ばれる建材の製造販売。一般的にあまり聞かないものだが、「人間で例えると『あばら骨』の部分」(新城将英社長)とするほど、建造物の強度を保つための重要な建材だ。
戦後の高度経済成長期を支えた京浜工業地帯に位置する川崎で、1951年に設立した老舗企業。当初は造管業を主力としていたが、時代とともに業容を変えていった。今では軽量C形鋼で国内3位の生産量を誇る。県内でも唯一のメーカーだ。
工場内には豊富な在庫を抱えており、取引先である特約店、建材販売店、建設現場での緊急需要にも対応する。「『当社が(お客さんにとっての)第二倉庫だと思ってください』と言っています」とする徹底したサービスが、同業他社との差別化になっている。
そんな同社がプラスチックのリサイクル事業を始めたのは、1977年のこと。グループ企業が電線解体の下請け業務を始めたのがきっかけ。電線の被覆材に使われていたプラスチックの廃材を何とか有効活用できないかと、試行錯誤を重ね、独自の成形法を開発した。「従来のプラスチック成形法とは全く違うものです」と、開発に携わった新城俊男会長は明かす。
開発した独自の「注入成形」は、再生ペレットではなく、プラスチック廃材を選別して粉砕加工する。そして熱で融解し、独自の金型に注入成形していく。
特筆すべき点は、品質の安定性。通常のプラスチック成形では、気泡やガスが混入し、成形不良を起こすことがある。それに対し、同社の成形法は、気泡があったとしても、細かく均一に散らすことで、常に同じ強度のものに仕上げるという。
「10センチ角で6トンの重さに耐えられます」(新城社長)という強度のほか、折れたり、割れたり、腐ったりしない驚異的な機能性を兼ね備えた。