タイル工事と防滑工事のショウエイ(横浜市都筑区東方町)は、「防滑ソリューション」を進める。家庭や職場などで常に抱える転倒リスク。事故や労災につながるものの、対策が進まない“盲点”でもある。同社は大手企業の開放特許を駆使するなどして、転倒防止につなげる自社製品を続々と開発。工事までもワンストップで受託する。また、新製品「デジタルグラフィックタイル」も発売した。
厚生労働省によると、職場での転倒災害は3万929件(2020年、休業4日以上)と労働災害で最も多く、増加傾向という。飲食店の厨房はもちろん、工場やオフィスなど、滑って転倒するケースはどこにでもある。
こうした中、タイル工事で経験を積んだ同社が数年前から乗り出したのが防滑ソリューション事業。初の自社製品となる防滑床塗料「滑らずん」と、透明防滑の「SFCシート」を開発。普及に乗り出している。いずれも大がかりな工事を必要とせず、店舗や工場では「稼働を止めずに短時間で施工できます」(今西昇社長)と言う。
■大手の開放特許も活用
「滑らずん」は、防滑機能を持たせた水性塗料。色は特注できるが、基本は無色透明で、既存の床材の上から塗布できる。乾燥時間はわずか4時間。店舗の場合、閉店後に作業すれば翌日は通常通り営業できる。
これに対し「SFCシート」は、貼り付けるシート状のため、ピンポイントで防滑できる。同製品は、富士ゼロックス(現・富士フイルムビジネスイノベーション)の開放特許「防汚性に優れた自己修復塗料」を採用した。これは、小さな傷が付いたとしても、太陽光などを浴びることで自己修復する機能がある。同塗料に滑り止め効果がある「骨材」を混ぜ合わせた。「施設だけでなく、家庭の浴室などにも使えます」。
デザインタイルも発売
今回、第三弾となる新製品「デジタルグラフィックタイル」の受注を始めた。同製品はいわば「防滑機能を持たせたデザインタイル」。通常のタイルと違い、グラフィックデザインが焼き付けられるのも特徴だ。文字や写真、イラスト…。さらにQRコードまでも焼き付けられる。
例えば、観光地で地面に案内表示をしたり、カラータイルを組み合わせて壁面をデザインしたりと、活用方法は数限りなくあるという。タイル1枚からオーダーメード可能で、同社で施工も請け負っていく。
今西社長は「防滑をキーワードに、自社製品をもっと広げていきたいと思っています」と話しており、事業を通じ転倒事故防止に貢献していきたい考えだ。