機器・装置・製品/ロボット

「世界に一つしかない機械」開発

世界に一つしかない機械、作ります─。それが、産業機械メーカー、ロボット工業(愛川町中津)のモットーだ。同社が手掛けるのは、プラスチックフィルム用の「巻取機」。レジ袋(ポリ袋)や食品包装、パッケージ、工業用、医療用…。今やプラスチックフィルムの用途は、数えたらキリがないほど、日常の至るところで使われている。その生産に欠かせないのが巻取機だ。同社は、顧客の細かな要望を満たす巻取機を一台一台、完全オーダーメードで提供。文字通り「世界に一つしかない機械」を設計し、製造、販売、設置までを一気通貫でこなしている。

プラフィルム巻取機を一気通貫で

■綿密な打ち合わせ

1970(昭和45)年7月に設立。「ロボット工業」という社名は、当時は身近でなかったロボットという夢の最先端産業を担いたいという思いが込められている。

国内でも同業者は数社しかないという巻取機の専業メーカー。自然に囲まれた愛川町の本社工場では、年間30~40台を生産している。

巻取機とは、プラスチックフィルムの成形・成膜時に、シワやたるみを起こさないよう、ローラーによって所定のサイズで正確に巻き取る自動機を指す。

主にフィルムメーカーが使用するが、フィルムのサイズや巻き取り速度、使用環境など、顧客の要望はすべて異なる。中にはクリーンルーム仕様もあるという。

顧客にとっては、せっかくの高価な機械を導入したとしても、望んだ通りの性能でなければ大きな痛手。同社にとってもマイナスになる。納得してもらい、リピートにもつながる機械を作るにはどうするのか? 唐木純一郎社長は「顧客との綿密な打ち合わせが何よりも求められます」と強調する。

■納入後すぐに安定稼働

同社の強みは、納入したらすぐに安定稼働する点。通常、巻取機のような大型機械は、導入しても試運転などを数カ月繰り返さなければ本格稼働できない。

しかし、同社の場合、見積もりや設計段階から「緻密な打ち合わせ」を繰り返すことで、顧客の細かい要望までもくみ取り、ミスマッチを防ぐ。これにより、納入後すぐの安定稼働を実現する。メカ(機構)と電気・制御の一体設計を行っていることも大きいという。

コロナ禍でも左右されることなく、プラスチックフィルムという必需品の需要とともに、安定経営を続ける同社。唐木社長は「人があっての会社です」と説く。「社員一人一人が自分の力を発揮できることで会社は成長していきます。気持ちよく、楽しく働いてもらうことを心掛けています」。

「世界に一つしかない機械」を作る会社は、働く人たちにとっても“唯一の会社”になるよう、日々前に進んでいる。

(2023年1月号掲載)