金属加工・樹脂加工・その他加工

小さい曲面でも精巧に、一発で印刷

特殊印刷のダイヤ工芸(川崎市高津区蟹ヶ谷)は、米粒やつまようじのように小さく、曲面形状の素材でも、精密かつ一発でスクリーン印刷できる技術を開発。独自技術「曲面インプレッソン」として販路拡大を進める。曲面のような特殊形状物への印刷は、従来は複数工程が必要とされていたが、同技術では単工程で完成してしまう。「生産効率アップによるコスト削減と品質向上をかなえる印刷技術です」(石塚博臣社長)としており、継ぎ目のない美しい仕上がりとなる。産業用部品やセキュリティ用途での問い合わせも増えている。

独自技術で海外展開も視野

同社によると、曲面などの特殊形状物への印刷は、従来工程ではブレが起こりやすかった。さらに、複数の色を印刷する場合、色ごとに工程を分けるため、重ねたときに誤差が出てくる課題もあった。そのため、完成品への印刷は難易度が高いとされていた。

それに対し、独自の「曲面インプレッソン」は、印刷機に4軸NC(数値制御)駆動装置を組み込み、同装置で細かく数値制御をしながら単工程で連続してスクリーン印刷を施す。印刷位置に誤差が生じても自動調整するため、ブレや模様のズレがないという。

例えば、直径10mm程度のボールペンに対し、多色刷りでキャラクター印刷をする場合、同技術では1日1万本が可能。誤差も1%以内だ。こうした特徴から、他社で断られた案件や紹介による引き合いも多いという。

■日本発の印刷技術

開発のきっかけはリーマンショック。海外への工場移転が相次ぎ、国内に残ったものは少量案件か利益が出にくいものばかり。自社で技術開発しないと生き残れないとの危機感から、社内に技術開発部門を立ち上げ、印刷技術の研究を始めた。

毎月社内発表会を開いて技術を磨いた。生まれたのが「曲面インプレッソン」技術だった。

ただ、「技術を磨くだけでは売り上げにはなりません」(石塚社長)と、サンプル品をもとに取引先に提案したり、展示会で反応を確かめたりして、技術のニーズがどこにあるかも常に模索する。
今後は「高付加価値印刷を求める海外企業にも展開したいです」と意気込んでいる。

(2022年11月号掲載)