海水や泥水でさえも飲料水にする逆浸透膜(RO膜)を使った家庭用の小型純水製造装置を製造販売する環境ベンチャー、アイアクア(横浜市港北区師岡町)は、味の好みや用途で選べるミネラルウォーター自販機を開発した。自販機内に搭載したRO膜で純水を製造。添加する濃縮ミネラルの配合量を変えることで、軟水や中硬水などの商品がラインアップできる。災害時には手動による濾過(ろか)も可能だ。おいしい水の提供と災害対策が両立できる自販機として提案していく。
おいしい水と災害対応を両立
主力製品となる小型純水製造装置・ビオラは、言うなれば「自分で作るミネラルウォーター」がコンセプト。すでに累計販売台数300台を突破している。
家庭用のミネラルウォーターと言えば、ウォーターサーバーを置いてもらい、ボトルを定期的に宅配する業者が多い。
これに対しビオラは、装置本体を購入すれば、後は水道水から純水を好きな時に好きなだけ生成できる。純水に対し、オプション販売する「濃縮ミネラル」を好みの味に応じ添加することで、自分だけのミネラルウォーターが楽しめる。料理時は純水を使えば、良質なだしが取れるという。
結果的にランニングコストがかかる宅配水よりお得として、家庭だけでなく、大手ビジネスホテルチェーンやミシュランガイド掲載の有名飲食店でも全面採用されている。今回、純水製造装置で培ってきたノウハウを業務用にも展開することとなった。
開発したミネラルウォーター自販機「mizPLUS(ミズプラス)」は、ビオラと同じ仕組みでRO膜から純水を生み出す。本体のフロントにはタッチパネルディスプレーを採用。メニュー表示も自由自在に変えられる。メニューは純水のほか、濃縮ミネラルを加えた「軟水」「中硬水」が一般的だが、自販機オーナーの好みでミネラル配合を変えたオリジナルのミネラルウォーターもラインナップできる。
災害時の活用も想定する。もともとRO膜は、分子レベルでろ過するハイテク膜。泥水さえも安全に飲料水にする。
そのため、災害時には手動ポンプでくんだあらゆる水を安全な飲料水に変えられ、細菌やウイルス、放射性物質までも除去する。本体価格は350万円前後(メンテナンス、濃縮ミネラルは別)。「今後は全国のスーパーやシェアオフィス、スポーツクラブなどに提案していきたいです」と馬場哲也社長。量産化を目指し、年100台の販売を目指している。