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「プロの目利き」海苔をカスタマイズ

海苔(のり)の老舗問屋、丸若(川崎市川崎区藤崎)は、業務用のりのカスタマイズ生産を展開する。仕入れから製造加工まで、社内で一貫してできる強みを生かした。料理別やテイクアウト用といった目的別に、一番おいしく感じられるのりを“コンサル”して提案。同業他社がしのぎを削る中で「プロの目利き」を生かした販売スタイルで差別化につなげる。

時代の変化でスタイルも変える

有明産と瀬戸内産を扱う。黒川豊喜社長は「漁獲量が多い地域ですので、価格も品質も幅広く、お客さんの望むものを効率よく作ることができます」と語る。

例えば、寿司店では、手巻き用として歯触りがよい有明産、軍艦巻きやテイクアウト用には時間がたっても溶けないしっかりしたのり…。同じ産地であっても、収穫時期によって特徴が異なるため、必要になるのは選別できる“プロの眼”だという。

現在、業務用としては寿司店のほか、有名せんべい店、ラーメン店など向けにカスタマイズするほか、コンビニエンスストアのおにぎり開発にも協力している。

■BtoCにも展開

BtoC向けにも展開。プロ用最高級のりのアウトレット商品を出したり、オリーブオイル、ごま油をかけた味付けのりを開発したりと、オリジナリティあふれる商品を数多くラインアップする。

日本人の食生活に欠かせないのりだが、食のスタイルは時代とともに常に変化している。同社も時代のニーズに合わせ、商材やビジネスモデルも変えてきたという。

現在、注力しているのが味付けのりの開発。中元・歳暮離れにより贈答品の需要が減少傾向にある中、これまでにない味付け方法で、若い人にも好まれるようなヘルシーでおいしい商品を作りたいと模索している。

(2022年7月号掲載)