鉄道や高速道路の通信機器などを製造する、旭光通信システム(川崎市高津区久本)は、八戸事業所(青森県八戸市)の社員たちが中心となって、モバイル型の焚(た)き火台セットを開発した。コンパクトに折りたたんで収納し、バッグのように持ち運べる。キャンプをより楽しむためのオプションも多数付属した。キャンプ好きの社員などが中心になって企画し、工場内の生産設備を生かし製造した“傑作”だ。八戸事業所のオリジナル商品として、全国のキャンパーたちに訴求していく。
こだわりの「焚き火台」開発
「SOLLOW'z GRILL」(ソローズグリル)と名付けた同商品は、ソロキャンプ用と、ファミリーで楽しめるワイドモデルの2種類。いずれもステンレス(SUS430)製だ。
本体のほか、「風防」や「薪用風防」「火床」「ロストル」「五徳」などの付属パーツが付いており、これらはオプションでも追加購入できる。付属パーツを使うことでグリルにもなる。
本体の両側には、串を固定するための「丸穴」が付いており、子どもたちが喜ぶマシュマロ串なども楽しめるという。また、断熱性がある専用取っ手があるため、焚き火中でも持ち運べる。
もともと、八戸事業所は高速道路用のインターホンや非常電話、鉄道用システムなどを、設計から製造まで手掛けている。事業所内で、来客時の展示用として小型グリルを置いていたところ、「雪が降っていてもキャンプに行く」というほどの愛好家である、製造課・板金グループの長岡蓮さんらが「もう少し改良できないか」と話をしているうちに、同商品を製作することになったという。
長岡さんは「今後も子どもから大人まで楽しめ、癒やしを提供できる商品を製作していきたいと思います」と、意気込みを見せる。
同社は駅の構内で使用される電話機や指令電話システムなど手掛ける一方で、高速道路用の通信事業も展開する。
鉄道の指令電話は関東以北でのシェアがトップ、高速道路のETCレーンのインターホンは全国でもトップを誇っている。「スマートインターチェンジの整備拡大などを追い風に、高速道路関係の需要が拡大しています」(酒井元晴社長)としており、このほど八戸市内に第2工場を新設。八戸事業所が位置する「八戸市北インター工業団地」内の敷地を購入し、筐体を生産する板金加工主体の工場にした。
敷地面積は7800平方メートル。一部2階建てで、延べ床面積は1216平方メートル。稼働により、筐体の生産能力も3~4割アップすると見込んでいる。自動化も進め来春には夜間稼働も計画する。