DX / IT / IOT / ベンチャー

「心の状態」を見える化、リスクを回避

心の状態を見える化します―。スタートアップ企業のリスク計測テクノロジーズ(RimTech、横浜市西区みなとみらい)は、スマートフォンやタブレット端末に向かって声を出すだけで、モチベーション(活動意欲)の状態を可視化するシステム「Motivel」の本格展開を始めた。モチベーション低下により発生する事故やミスといったリスクの事前回避につなげるとともに、働く人たちの心の健康を管理するツールとして提案していく。

RimTech、音声分析技術で実現

同社の岡崎貫治社長は「声から感情を抽出する技術は広まっていますが、心の状態までは踏み込めていませんでした」と説明する。同システムは、日本語、外国語を問わず言葉を5秒間発することで、プレジャー(喜び)、リラクゼーション(くつろぎ)、バイタリティ(元気)、モチベーションの状態を数値で示す。

具体的には、リラクゼーションとプレジャーを基礎にして、バイタリティを算出。モチベーションは、過去のバイタリティ数値の結果を基準にして割り出す。

モチベーションの数値が低いと、勤務中の事故やミス、さらには不正につながるとしており、同システムで日々計測していくことで対策が打てるようになる。

また、管理者が働き手の心の状態を知ることができるため、退職や休職に発展する前のケアが可能になる。毎日の計測を続ければ続けるほど、本人の傾向が分かるため、計測の精度も高まるという。

■東大大学院で検証

同システムで採用されている音声分析技術は、ベンチャー企業のPST(同市中区山下町)が開発した音声解析エンジン「MIMOSYS」を採用した。声帯の変化を解析して心の状態を「見える化」するもので、東京大学大学院医学系研究科の徳野慎一氏によって、医学的に検証されているという。

同システムはクラウド上で利用するため、導入費用はかからない。手持ちのスマートフォンやタブレット端末で専用サイトに入り、IDを入力して使う。月額利用料は1アカウント300円。岡崎社長は「心の状態が早く、簡単に分かります。勤怠管理システムなどと併用すれば効果的です」と話している。

(2021年2月号掲載)