住まいの産業 / ライフサイエンス

空調工事会社が高性能「薪ストーブ」

空調工事の会社が考えた薪ストーブはいかが―。アップ総合企画(川崎市川崎区元木)は、持ち運び可能な小型の薪ストーブを開発、試作品を完成させた。本業である空調工事のダクト清掃などを通じ“空気の流れ”を熟知した同社だからこそ開発できた製品という。薪を暖かい空気で燃やすことで、オーロラのような透明な煙が楽しめる「3次燃焼」と呼ばれる高次燃焼を実現。一般家庭で後付けできるだけでなく、取り外してキャンプにも持っていける。3月中の商品化を目指し「ドリームファイヤー」のブランド名で展開していく。

オーロラ燃焼を実現

田中勇人社長はもともとアウトドア好きで、昨年、千葉県内に同社の保養所を設けた際に、市販の薪ストーブ設置を考えた。しかし、高性能な薪ストーブは、ほとんどが米国や欧州製。しかも、どれも重さ100kgを超す大掛かりなものばかりだった。一方、市場に出回っている国内製は「炎を楽しむというよりも、暖めるだけという製品ばかりでした」(田中社長)とし、ならば自分で理想の薪ストーブを開発しようと考えたという。

新開発の「ドリームファイヤー・MWS-1」は、家庭の電子レンジとほぼ同等のサイズで、重さは30kg。脚部は“吸気配管”になっており、ここから外気の冷たい空気が、ストーブ内の暖かい空気に自然と流れていく「煙突効果」を出す構造にした。

■持ち運びも可能

一方、本体内にも配管を張り巡らし、炎に対し、空気を暖めてから供給することで高次燃焼も実現した。

地域の工務店でも簡単に設置できるほか、取り外してアウトドアにも活用できる。まだ試作段階だが、価格は37万円(税別)を想定。広葉樹、針葉樹を問わず、あらゆる薪に対応。県内の間伐材由来の薪を使用すれば地産地消にもつながると期待する。

コロナ禍により、ホテル関係からの受注が減少するなど、本業が影響を受ける中で、薪ストーブは新事業として育成していく。

(2021年3月号掲載)