カーボン加工専門、旭工業(綾瀬市早川)が昨年末に発売した食パン専用カーボンプレート「Sumiトースター」がヒットを飛ばしている。産業用部品で培ってきたカーボン加工技術を生かし商品化したオリジナルブランド「Sumi」シリーズの第6弾商品だ。全国のベーカリーや消費者の間で口コミで広がっており、現在は品薄状態に。そのため、月産300個出荷できる生産体制の構築を進めている。
自社商品をベーカリーで販売
同社が手掛けるカーボン部品は、熱処理装置や半導体シリコン成形部品など、産業分野で広く使われる。ただ、カーボンは割れやすくデリケートな素材のため、金属とは異なる加工ノウハウが必要。県内でも専門とする企業は少ないとされる。
こうした中、同社は数年前からカーボン加工の可能性を追求しようと、プロダクトデザイナーと組んで自社ブランド商品の開発に着手。「熱が伝わりやすく遠赤外線効果がある」というカーボンの特性を生かし、「Sumi」ブランドで鍋などを商品化している。
ただ、鍋やバーベキュー用鉄板などは、数多くのライバル商品が存在する。そこで、何かに特化した新商品を生み出せないかと、社内で開発プロジェクト「Sumi工房」を発足。各メンバーがカーボンで調理したら、一番おいしいと思うような食材を探し続けた。そして全員一致したのがトーストだった。スチームオーブントースターよりもおいしく焼けると評判になったという。
■遠赤外線効果で実現
食パン専用カーボンプレートは、コンロやIHを使用。片面1分程度で焼ける。“遠赤外線効果”により、トースト内部に含まれる水分を飛ばすことなく、外はカリッと中はジューシーに仕上がるのが特徴だという。「これでトーストを焼いたら、お子さんが毎日朝食をとるようになったという話も聞きました」と嶋知之社長は語る。
価格は1万1000円。直販サイトや大手ネット通販サイトのほか、ベーカリー4店舗でも店頭販売している。