国の構造改革特区制度で、新たにワイン特区「さがみはらのめぐみワイン特区」として認定された相模原市内でワインブームが起ころうとしている。火付け役は、産業廃棄物中間処理業、大森産業(同市中央区高根)が運営するワイナリー「ケントクエステートワイナリー」だ。今までは自社の農業法人の畑でブドウを栽培し、委託生産したものを販売していたが、特区となったことで最低製造量の基準が緩和され、自社醸造を目指すことに。2022年度に醸造所の立ち上げも目指す。
市内3カ所で13品種のブドウを栽培
大森産業が2014年に設立した農業法人「八咲生(やさい)農園」を通じ、市内3カ所の農園計5500平方メートルで、13品種のブドウを栽培している。この中でも、どの品種がワインに適しているか、試験栽培を重ねているという。
相模原と隣接する山梨は、全国有数のワイン産地として有名だが、担当の森山錬一さんは「(山梨とは)距離が近く気候が似ているところもありますが、同じブドウの品種でも出来が全く違います」と明かす。だからこそ、「相模原ならでは」のワイン開発にこだわる。
こうして生産されたワインは現在、市内外の酒販店と飲食店約20店舗で取り扱っている。今年3月には栽培した10品種のワインを発売。1カ月ほどで生産数の約半分を売り上げるなど、反応も上々だという。森山さんは「この地で一番おいしくできる品種を見い出したい」としており、栽培品種の絞り込みや栽培条件の工夫、新品種への挑戦を続けていく。