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板金技術で「ピザ窯」開発

 

精密板金のタシロ(平塚市入野)は、ピザ窯と燻製器、焚火台が一体となった卓上型「3WAYピザ窯」を開発した。オリジナルのアウトドアブランド「町工キャンプ(Machi-ko Camp)」の第一弾商品だ。機械部品や機械カバーなどに広く使われている電気亜鉛メッキ鋼板(ボンデ鋼板)を使用。9キロワットの高出力ファイバーレーザー加工機で生産する。コロナ禍で外出が制限される中、自宅で親子でも楽しめるものを世に出したいと開発した。ソロキャンプ愛好家にも売り込む。

タシロ、ファイバーレーザーで生産も

ボンデ鋼板は防サビ対策が施された鋼で、同商品では板厚1.6ミリをメーンに使用。ファイバーレーザー加工機を使えば日量90台製作できるという。

A4サイズでコンパクトに収納でき、使用時は各パーツを組み立てる。組み立て時間はピザ窯、燻製器で約50秒、焚き火台は同20秒。また、すべてのパーツで角を取る「面取り加工」を施し、子どもが触ってもケガをしないように配慮した。オプションで厚さ9ミリの極厚鉄板、3.2ミリのハーフグリル鉄板も販売する。

■町工場を勇気づけたい

もともと、精密板金を手掛ける同社。コロナ禍で中小製造業の景況感が悪化する中で、「従業員20人弱の当社でも『やればできる』ということを示し、全国の町工場を勇気づけたいと思いました」(田城功揮取締役)と、開発に着手。キャンプ好きの知人など、数多くのヒアリングを重ねたり、試作を繰り返したりして6カ月以上かけて完成させた。

価格は2万1000円。オプション(極厚鉄板、ハーフグリル鉄板)のいずれかが選べるセットが2万6500円。年間500セットの販売を見込む。

(2021年8月号掲載)