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文具店の新しいモデル構築

 

相模原の老舗文具店、文盛堂(相模原市中央区千代田)の3代目に尾作太一社長(前専務)が就任した。移動が制限されるコロナ禍で、実店舗を構える企業にとっては逆風が吹き続けるものの、同社は独自路線を歩んでおり、若い力でさらなる成長を見据える。

老舗の文盛堂、尾作新社長が就任

尾作社長は就任に当たり「Create!Your office,Your dream!(夢とオフィスを創造しよう)」を、新たな企業スローガンに掲げた。

同社は、事業所などを巡る「外商」と、実店舗をメインにしている。

中でも事業所に対しては、事務用品のみならず、オフィス家具や複合機、パソコン、ソフトウエアといったITツール、さらには除菌グッズなど、お客さんの課題に合わせて提案。街の文具店から“オフィスのよろず屋”的なビジネスモデルに発展させ、常時取引先1000社を獲得している。

「コロナ禍でリモートワークをしたいが、何から始めてよいか分からないというお客さんもいますので、機器の導入からサポートしています。ニーズも増えています」と尾作社長は語る。

■「実店舗ならではの魅力を」

昨年8月には新社屋ビルを建設、新店舗をグランドオープンさせたばかり。お客さんを呼び込むため、店内には巨大なモニュメント「文具のなる木」を置いた。

地元の女子美術大学(同市南区麻溝台)でプロダクトデザインを専攻する学生が“文具の森”をイメージしてデザインしたもので、幹の周辺はテーブルになっており、ここで試し書きなどができる。

「文具を買うだけなら、インターネットだけでも完結します。しかし、実際に来店して楽しんでもらえるのが実店舗の魅力でもあります。店内をテーマパークのようにしていきたいです」(尾作社長)。

コロナ禍での社長就任となったが、将来は多店舗展開も視野に入れるという。「確かに、当社のみならず、多くの企業が新型コロナで大変な思いをしています。しかし、ここを乗り越えれば、(アフターコロナは)絶対に明るい未来が待っています。それを信じて、当社も頑張っていきます」(同)と、前向きな姿勢を崩さない。

(2021年9月号掲載)