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ワクチン保存「瞬停報知器」活躍

 

新型コロナウイルスのワクチン保存に、SKジャパン(川崎市中原区下小田中)の技術が活用されている。同社は、落雷などで瞬間的に送電が止まってしまう瞬間停電(瞬停)や停電で、機械が止まってしまった時に、その情報をいち早く知らせる装置「EleMo(エレモ)」を開発。貴重なワクチンを破棄しないため、ワクチン保存用冷蔵庫に同製品を設置する動きが各自治体で広がっており、注文が急増しているという。

コロナ禍で注文急増

エレモは、ワクチン保管用冷蔵庫に異常があった場合、瞬時に感知して光や音などで知らせる瞬停報知器。監視対象となる機器と同じ電気系統のコンセントに接続する。異常時は周囲の誰もが気付くよう、80デシベルの大音量を発する。

同社によると、故障していない機器であっても「瞬停」は起こり得るという。

例えば、落雷だけでなく、電力会社が電気の供給ルート切り替えた時にも、送電が瞬間的に止まる。

ただ、瞬停しても機器が自動復旧しなかったり、復旧していないことに気付かなかったりする。

また、最悪の場合、コンセントの差し忘れでワクチンが常温状態になってしまい、結果的に廃棄してしまう事例もあるという。そうしたことから、ワクチン破棄リスクの防止につながるエレモが脚光を浴びた。

現在、3種類をラインアップ。音と光で知らせる基本タイプのほか、電話通知タイプやメール通知タイプも用意。

メール通知タイプでは、過去にいつどんな電圧の変化があったかのデータも見えるため、機器の不調との関連性などの原因分析にも使えるという。価格は基本タイプで1台5万2800円から。

開発は2015年だが、コロナ禍を背景に累計販売台数500台を突破。大手電力会社からの引き合いも来ているという。滝初雄会長は「シンプルな使い勝手からニーズの高まりを感じています」と話している。

■開発のきっかけは「温泉」

1979年10月創業、受託開発で40年以上の歴史がある。エレモ開発のきっかけは、温泉設備を管理する会社からのSOS。

24時間365日稼働の温泉ポンプが停電や瞬停で停止してしまうと、井戸の水位が急上昇。汚泥やさびが噴出してしまい、甚大な影響を及ぼしていた。

そこで瞬停にいち早く気付いてポンプ復旧に駆けつけられるようにとエレモの開発につながった。

(2021年9月号掲載)