川崎のベンチャー企業が水上発着が可能な飛行艇ドローンの開発に成功した。スペースエンターテインメントラボラトリーが今秋リリースする「HAMADORI(ハマドリ)」は、長距離、長時間の飛行に加え、水上発着も可能な“最強”のドローンという。空と海からの監視活動ができるため、ドローンの活躍の場が一気に広がると期待している。

海洋調査や海難救助も想定

ドローンに翼を付けた「固定翼型」を採用しており、時速70キロでも約2時間は飛行できるという。海洋調査や海難救助、災害対応、環境監視など、あらゆる分野での活用を想定する。

機体には、海洋調査用の音響通信機やソナーのほか、可視光と赤外線光カメラを搭載。これらの精密機器は“完全防水”となっており、機体を水で丸洗いできる耐環境性の強さも売りだ。

陸域のさまざまな分野では現在、広く知られる「マルチコプター型」のドローンの普及が進んでいるが、水域でもドローンによる調査は、船舶やブイと比べ、リアルタイムにデータ収集ができ、費用も抑えられる利点がある。ただ、マルチコプター型では、波や風で水上離着陸が難しくなる上、船の看板から離着陸する際に揺れが大きいと、ホバリング中に船体に衝突してしまうリスクがあるという。

HAMADORIは、波の揺れがあっても離着陸が可能。調査したいポイントまで船で運び、海に投下して使用できる。「飛行距離や時間が飛躍的に伸び、これまで取れなかった範囲のデータも収集が可能になります。空と海からの探索で、確実に情報を集積します」と、金田政太社長は胸を張る。

初年度はこの飛行艇ドローンを使ったデータ調査事業も開始。年間100日の稼働を目標としている。

(2021年9月号掲載)