生ハム・サラミ加工専門、協同デリカ(横浜市都筑区東方町)は、製造業で生産効率の極限追求に用いられるTPM(トータル・プロダクティブ・メンテナンス=全員参加の生産保全)を導入した。精密製造業のノウハウを関連会社から適用したもので、パート社員を含めた全従業員約30人で日常的なカイゼン活動や細菌検査、官能検査といった品質検査に取り組む。

協同デリカ、精密製造業のノウハウ導入

イタリアやスペインから輸入した生ハム、サラミなどの非加熱食肉製品を加工している。老舗レストランから大手小売業まで、種類や生産ロット、包装方法などが異なる1000種類以上の商品を手掛ける。

人員も設備も限られる中小規模の工場では管理体制が整っていない例が少なくないが、取引先からのニーズに可能な限り応えることで市場の拡大にもつながると、「精密製造業の生産管理」を食品加工の現場にも導入した。

池田伸敏社長は「われわれの業界では珍しくても、製造業がやっているように品質管理の徹底とデータ化を進めることで、生産性や品質の向上にもつながります。取引先にも安心してもらえます」と説明する。

相乗効果を生んだ同社の関連会社、協同インターナショナルは、「電子MEMS」「ライフサイエンス」「畜産・酪農」「食品・食材」など多岐にわたる事業を手掛ける。

一見、関連性がないように思える各事業だが、それゆえに「ほかの業界の当たり前を知り、取り入れることもできます」(池田・協同デリカ社長)と言う。

■日本で初めて輸入

約40年前、日本に初めて生ハムを輸入、普及させたのも協同インターナショナル。当時は営業に行っても「誰も食べない」との意見も多かったが、今では老舗有名店やホテル、スーパーにも並ぶようになった。

需要の高まりとともに、加工包装専門の会社として協同デリカを2000年3月に設立。今では、レストラン業界から百貨店などまで取引先も幅広い。

(2021年11月号掲載)