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元上場企業役員、第2の人生は「共創」

ten(川崎市高津区下作延)がJR南武線・溝の口駅近くで運営するシェアマーケット「Nokuchi lab.(ノクチラボ)」が、飲食店などを新規開業するためにチャレンジする場としてにぎわっている。2019年11月のオープン以来、5組以上がここから独立、自分の店やキッチンカーを持ったという。「いつかは…」と思っていた開業の夢の一歩を踏み出せる場をつくることで、「メイド・イン・ローカルの店がこの地でより多く開業し、個性ある街の魅力づくりにつなげたい」と、丸山佑樹社長は語る。

ten、店舗開業支援のインキュベーション運営

丸山社長は学生時代に仲間と起業。80以上の店舗開業に携わり、営業管掌役員という立場で上場も経験した。それを違う形で生かしたいと17年に独立し、tenを設立。

「地域のあらゆる業種を巻き込み、魅力ある街づくりにつなげたい」という思いから、開業希望者を対象にしたインキュベーション施設としてノクチラボをスタートさせた。

現在、店には多様なジャンルの約20の出店者が、曜日や時間ごとに出店。現役高校生も店の一角にアロマフレグランス商品を出店している。

通常、飲食・小売業などで店舗を開業するには初期投資が必要となる。小さな店舗でも、不動産契約から内装工事、必要設備や備品までを備えると1000万円はかかる。ただ初めて起業する創業者が受けられる融資はせいぜい200万~300万円程度。うまくいかなかった場合でも返済金は残るため、営業をやめづらい現実があるという。

ノクチラボには一般的な厨房設備は備え付けられており、自己負担は細かい調理器具や什器程度。「必要最低限の設備は整っているので、気軽に挑戦してほしいです」と丸山社長。3カ月ごとに更新確認をするので、3カ月やってみて失敗したら別の事業での再チャレンジも可能だという。

(2022年1月号掲載)