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イグサの香りは「アフタヌーンティー」

小田急線・東林間駅近くで1968年から続く畳店、佐藤畳店(相模原市南区東林間)が、新商品の開発に奮闘している。イグサの魅力でもある“香り”を伝えようと、ハンドメイドグッズや、ソファーやフローリング上でも使える「ござぶとん」を開発。生活スタイルの変化で畳になじみの薄い若い世代へのアピールを通じて、畳文化の復権を目指す。

佐藤畳店、畳文化復権向け奔走

佐藤洋一代表は2代目。取り扱っているイグサの99%以上が国産で、国内屈指の生産地・熊本県八代市の農家から直送している。

畳業界を取り巻く経営環境は厳しい。新築の和室離れが進み、イグサ農家は後継者不足に直面。外国産も台頭する。それでも、安売り競争には参入しないと決めている。「寝る間を惜しんで作業をする農家の人たちの苦労を知っていますから」(佐藤代表)と話す。

佐藤代表は、イグサの香りを「英国のアフタヌーンティー」に例える。

香り成分には、紅茶の「ジヒドロアクチニジオリド」、バニラ菓子の「バニリン」、森林の香りの「フィトンチッド」が含まれる。つまり、自然の中でアフタヌーンティーをリラックスしながら楽しむのと同じ効果があるという。

また、イグサは抗菌・消臭作用を持つとされる。「畳を生み出したかつての先人たちの知恵はすごいものがあります」(同)。

■若い世代に魅力伝え

こうした畳の魅力を若い人たちにも知ってもらおうと、畳材(ヘリ)などを使用したバッグやカードケースなど10種類以上を開発した。

中でも「ござぶとん」(3850円~)は、「畳の座布団を見かけなくなった」というお客さんの声を受けて商品化したものだ。100%熊本産の畳表を、熟練職人の手縫い技術で分厚く、きれいな柄に仕上げた。

佐藤代表は「畳の新しい形です。ソファーの上に置いてイグサの香り、イグサの魅力を知ってほしいです。そして今度はフローリングを畳に替え、家の建て替え時には和室を設けてもらえれば」と語っている。

(2022年1月号掲載)