地域の話題のお店

母娘のカフェが「事業再構築」挑戦

JR南武線・矢向駅から徒歩10分、小さなカフェが「事業再構築補助金」に採択され、新事業に挑戦している。

母娘で運営するカフェ「くもい」は、地域密着型のベーカリー事業を始めた。店内に自家製のベーカリーショップを併設。地元商店街の飲食店や地元食材とのコラボ商品を続々と開発する一方、企業の開放特許を利用した健康食パンも提供。地元を盛り上げながら、お客さんの健康増進にも役立てたいという。

矢向駅近く「くもい」がベーカリー事業開始

パン講師歴10年で、オーナーの坂本良子さんと、元書店員の娘、石井恵さん母娘が6年ほど前にスタートした店。お母さん手作りのおいしいパンが味わえるランチや、絵本に出てくるおやつを再現したスイーツなどが話題を呼び、家族ぐるみの常連客などでにぎわっていた。

しかし、長引くコロナ禍。一時はテイクアウトメニューもやっていたが、そもそも“来店型”のカフェだけで経営するのは難しいと感じた。そこで地元支援機関に相談、協力を受けながら、事業再構築補助金に挑戦した。

■知財活用パンも

現在、ベーカリー併設型のカフェとなった同店では、購入したパンが店内で味わえる。

大手ベーカリーチェーンとの違いを出すため、商品構成にもこだわった。例えば、商店街の老舗カレー店とのコラボパンや、地元のブランド卵を使ったグルメパン、そして京都市内に本社がある医療機器メーカー、アークレイが持つ機能性食品素材の知財を活用した健康食パンも開発している。 

 

中でも、温州みかんが原料で、体脂肪低減や美肌作用があるとされる機能性食品素材(クリプトベータ)を使った「健康食パン~みかんのちから~」は、オレンジピールが香るほんのり甘いパンだ。

「先の見えないコロナ禍で不安がありますが、何事もやってみないと分かりません。でも、やってよかったです」と、恵さんは語っている。

(2022年2月号掲載)