極めて優れた技能を持ち、県内でその道の“第一人者”とされる技能者を表彰する県の「卓越技能者」に、看板制作、タイホー(相模原市中央区田名)のデザイン課課長の土井真由美さんが選ばれた。
タイホーの土井真由美さん
「広告美術工」の分野。土井さんはパソコンを活用した看板デザイン制作を得意とし、技能グランプリにも積極的に参加。優秀な成績を残す一方で、「ものづくりマイスター」として、子どもたちにものづくりの楽しさを伝えている。こうした点などが評価された。
この道30年近く。もともとは都内の専門学校でグラフィックデザインを学んだ。たまたま同社の求人を知り、「デザインに近い仕事だと感じた」と入社したのがきっかけ。
普段、街で目にする看板は、今でこそパソコンや専用装置を駆使して制作する。しかし、入社当時は“アナログ”が主流。元のデザインを看板サイズに拡大コピーし、それをカッティングシートに貼り、文字やイラストをカッターによる手作業で切り取る細かい工程が不可欠だった。
丸みを帯びた文字、角張った文字、複雑なロゴマーク…。多種多様な形状をカッターで切り取り、元のデザインと同じような看板に仕上げるには“技術”が求められた。「小さい頃からものづくりが好きでした」と言う土井さんは、入社後にひたすら腕を磨き続けた。
現在、国家資格「広告美術仕上げ技能士」の1級(粘着シート仕上げ、ペイント仕上げ)も持っており、これまで手掛けた看板は数千に及ぶ。中には、誰もが一度は目にするような有名学習塾の看板も。「この仕事はおもしろいです。毎日、異なる看板をデザインしますので、飽きがありません。この仕事の魅力を子どもたちに伝えていきたいです」と意気揚々に語っている。